知財風塵録

経営者、産学連携コーディネーター・URA、発明者(研究者・開発者)が知っておきたい知的財産と特許の世界

Googleからの広告リンク


日本国著作権法改正(非親告罪化・保護期間延長等)とトランプ大統領とTPP(2)

TPPとともに(少なくともいったんは)消えた著作権保護期間延長ですが、これについては消えて当然という印象のかたも多いでしょう。保護期間が著作者の死後70年へと延長されたとすると、日本人の平均寿命男性80.79歳女性87.05歳(2015年)ですから、単純に合計して、著作者の生誕から150~157年後までの保護期間となります。今年2017年の150年前といえば、ちょうど江戸時代の大政奉還(1867年)の頃です。その頃と現在とでは、平均寿命が違いますから、比べることはできないにしても、そして政治体制すら変わっていますからそもそも比べることができないにしても、もし仮に単純に計算すると、大政奉還の年に生まれた著作者の著作権が、男性であればちょうど今年くらいに満了するくらいの時期で、女性であれば満了するまでにあと7年ほどある、という存続期間となる計算になります(没年の翌年の1月1日から計算して70年間)。こんなに長期の著作権保護期間を与えることで、文化が発展したり、著作者にとってのインセンティブとなったりするとは、思われません。いかにも長すぎますよね。正当化の理由が思いつきません。きっと誰もがそう思うでしょうが、秘密交渉を経て、TPPに入る以上は国民にはその法改正を拒む手段はない、という状態となってから知らされたのですから、おかしな話でした。
(江戸時代であれば、末代までの子孫のために、所領を守ることに名誉と命をかけるのは当然のことだったから、150年後までの著作権保護が、強いインセンティブになるのは我々日本人にとって自然なことである、といった話は、ここでは考えないものとしています・・・)

著作権法改正(非親告罪化・保護期間延長等)とトランプ大統領とTPP

昨年にはネットでも話題となった著作権非親告罪化や保護期間延長等の法改正ですが、日本で国民がどのように議論したところで、TPPに入る以上は国民にはその法改正を拒む手段はない、という状態となっていました。TPPは秘密交渉でしたから、この過程は国民には知らされず、日本の国会で議論される以前に包括的な国際約束としていつの間にか決まっており、いわば議会制民主主義の抜け道となっていたのですが、トランプ大統領の決定でTPPが発効しないことがあっさりと決まりましたので、(少なくとも既に通った法律では)上記議論となった法改正は施行されないものとなりました。日本国の法改正について、日本国民よりもアメリカの有権者のほうが強い決定権を持っている、という感じですね。
(昨年に行われた著作権法特許法等の改正は、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」としてまとめられていて、この法律は、「この法律は別段の定めがある場合を除き、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日から施行するものとする」となっていますので、TPPの不発効の決定で、このままでは施行されないこととなりました。
http://www.cas.go.jp/jp/houan/190.html )