知財風塵録

経営者、産学連携コーディネーター・URA、発明者(研究者・開発者)が知っておきたい知的財産と特許の世界

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AbemaTV(商標)事件に学ぶこと(3)A社の対応

以上を踏まえて、A社の対応について考えてみます。
A社は、これらの事情の元で、あえて外国のサービスと同名で事業を開始することなく、名称を変更して商標出願し、サービスを開始することにしました。
2015年4月時点で考えた対応としては、これは妥当な対応でしょう。
わざわざ紛争の可能性のある名称(商標)で事業を開始するのではなく、名称を変更するのは合理的です。いったん使用を開始した名称(商標)には、いろいろな信用が蓄積されてゆきますから、途中で変更するのではなくて、最初の時点で変更してしまうのが、もっともダメージの少ない方法です。
では、2015年4月時点に先だって準備することで、「AmebaTV」の名称(商標)で事業を行うという可能性(選択肢)はあったでしょうか。
もし、これをやるとすれば、2007年に設立されたカナダの「AmebaTV」に先だって、国内外の商標権を取得する必要があったでしょう。2004年から「アメーバブログ」が開始されていますから、その直後にインターネット放送局を同名で開始する可能性を考慮していれば、対処方法はないわけではありませんでした。しかし、十数年後に始めるかどうかという程度の見込みの事業のために、国内外の商標権を費用をかけて取得し維持するのは、現実的ではなかったでしょう。ドメインだけ取っておく、という手段がないわけではありませんが、ドメイン商標権に代替する法的効力があるわけではありません。
結局のところ、名称を変更して商標出願し、サービスを開始するというのが、現実的な選択肢でしょう。