知財風塵録

経営者、産学連携コーディネーター・URA、発明者(研究者・開発者)が知っておきたい知的財産と特許の世界

切り餅事件(特許)から学ぶこと(10):まとめ

 切り餅事件には、いろいろな場面があって、学ぶことはとても多いのですが、全体の分水嶺となった知財高裁の中間判決に基づくと、主としてB社の側の立場を参考にして、次のようなことを学ぶことができます。

 もし、B社が、A社の特許権の出願日に先んじて発売したという、上下面と側面の両方にスリットが入ったパック入り「切り餅」製品を、発売当時に、日付を確定できるように準備して、保管しておくか、

 あるいは、B社が、パック入り「切り餅」製品の発売に先立ってした特許出願において、上下面と側面の両方にスリットが入った「切り餅」の発明を記載しておけば、A社の特許権は無効となるか、あるいはそもそもA社の特許権は発生することはなく、

 つまり、事件はそもそも生じなかったか、あるいは非常に簡単な話し合いの場で、終結していたことでしょう。

 言い換えれば、ここから、製品を発売した場合には、その製品の事業の実施の継続の確保を考えておくべきであり、その製品に使用されている発明について、後から他社が権利を取得するといった事態が生じないように、準備しなければならない、ということを学ぶことができます。

 そして、その具体的な手段として、製品の保管や、事前の特許出願がある、ということを学ぶことができます。

 この製品の保管や、事前の特許出願については、いろいろな留意点がありますから、別なブログ記事で、いずれご説明しますね。

 また、一連の切り餅事件において、これまでのブログ記事では登場していないC社がいて、このC社の対応からも学ぶことは多いのですが、それについても、また別なブログ記事で、いずれご説明しますね。