知財風塵録

経営者、産学連携コーディネーター・URA、発明者(研究者・開発者)が知っておきたい知的財産と特許の世界

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切り餅事件(特許)から学ぶこと(7):B社の対応について

 B社が受けたような判断を受けないためには、訴訟事件となる以前の段階で、どのように対応しておけばよかったのでしょうか。

 会社の代表取締役などは、新聞記事のインタビューを受けないほうがよい、のでしょうか。

 もちろん、それは本末転倒です。メディアの取材を受けて、事業にプラスとなるチャンスがあるならば、その機会は生かしたほうがよいに決まっています。できうる限り、発言する技術の内容は正確であるほうがよいに決まっていますが、企業の発明者と同レベルの理解を全ての取締役に求めるのは、現実的ではないでしょう。

 また、メディアが、プレスリリースなどの資料を求めてきたり、技術的事項の確認を求めてきた場合には、社内で内容の確認をとればよいのですが、インタビューとはその後に内容確認を求められることなくそのまま記事になってしまうものである、と考えておくべきでしょう。

 自社に不利な証言をする可能性のあるあらゆる人に、事前に接触して納得しておいてもらうようにする、のがよいのでしょうか。

 でもそれは現実的ではありませんし、その段階に至っては、すでに訴訟実務の問題です。

 商品の外袋の図柄と商品の内容を一致させたほうがよいのでしょうか。

 ひょっとしたらそうかも知れませんが、商品の外袋の図柄は、技術説明のための図面ではなくて、商品の魅力を遡及するデザインですから、デザインとして(諸般の事情から)ちょうどよいと考えた範囲で表示することになるのはしかたがありません。

 特許出願前に、発明をうっかり公表したり、その発明の製品を発売・発表したりしないようにしたほうがよいのでしょうか。

 もちろん、特許権をとるためには、特許出願前に、発明を公表してしまったり、その発明の製品を発売・発表したりしないほうがよいに決まっています。しかし、そのような出願手順の失敗が、単にその特許出願を権利化できないというペナルティを超えて、何らかの意図を認定する根拠となることまでを想定するというのは、そのような可能性がある、ということを議論として知っていたとしても、そのような可能性の全てを考慮するとなると、恒常的な注意を向けるのは、難しいかも知れませんね。

 この場合には、やはり学ぶべきポイントは、保管していた切り餅製品の取り扱いにあります。