知財風塵録

経営者、産学連携コーディネーター・URA、発明者(研究者・開発者)が知っておきたい知的財産と特許の世界

切り餅事件(特許)から学ぶこと(3):B社の主張と証拠について

 B社の主張は、なぜ知財高裁に認められなかったのでしょうか。直接的な理由は、B社の提出したポイントとなる証拠が、知財高裁に採用されなかったことです。証拠が採用されなければ、その証拠に基づいた主張は理由のないものとなり、認められないことは当然です。
 では、B社の証拠がどのようなものであったかというと、それは主として次のようなものでした:
 ・B社がパック入り「切り餅」製品を公証人に提出して作成された事実実験公正証書(添付写真30枚、図面1枚)
 ・B社の従業員の陳述及び証言

 なお、ここででてきた「事実実験公正証書」とは、公証人という資格者が、五感によって直接見聞した事実を記載した書面で、一般に裁判においても高い証明力を有するとされる書面です。使い方によってはとても役に立ちますので、知っておくとよいですね。